株式会社インターブックス

 代表取締役社長 松元 洋一 氏 氏

会社概要

弊社の前身である会社は1991年2月に設立しました。元々は大学のサークルの仲間たちと、当時海外で普及してきたアップル社のマッキントッシュコンピューターを使って多言語環境で何か面白いことができないかと考えたのが、立ち上げのきっかけです。その後、『送り手と受け手をつなぐ』という意味のINTERと、『質の高いメディア』の創造を志すBOOKSに想いを込め、INTERBOOKS(インターブックス)と現在の社名に変更しました。第2創業期に当たる今年は6期連続増収増益で事業を拡大させています。

株式会社インターブックス 様 HP:http://www.interbooks.co.jp/

Interview

取扱い分野及び受注が多い分野を教えてください。

弊社の取扱い分野は年々広がっており、金融、知財特許、法務、国際関係、学術、観光、コミックまで幅広く取り組んでいます。その中でも現在力を入れている分野は、金融、特許、法務になります。
金融分野では、証券の印刷をおこなっている印刷会社などの翻訳依頼が多いです。内容は、決算書や調査レポート、決算短信などが多いです。法務分野では、ライセンス契約、投資会社ではM&A契約などが多いです。現在強めている分野は金融・法務ですが、今後はメディカル分野にも力を入れたいと考えています。
言語は日本語から英語が一番多いですが、それだけでなく、中国語、ベトナム語、インドネシア語などをはじめとした東南アジア言語への翻訳も増えてきています。分野や言語が多岐にわたるので品質管理が大変になりますが、パートナー翻訳者も2500名、85カ国を超え、さまざまな分野の翻訳に取り組んでもらっています。

御社の強みを教えてください。

私達の強みは創立当初から翻訳に加えて、編集「つくる」、出版「情報を発信する」という3つの柱を持っています。雑誌の編集から書籍の編集・出版まで、ライター、校正、校閲、デザイナーなどのプロフェッショナルなスタッフやパートナーを抱えており、それぞれの専門家が、最適なコストパフォーマンスでクオリティの高い作品を創り出します。弊社は元々編集がメインできているので、原稿作成、編集、翻訳、DTP、印刷までワンストップの作業することが可能です。これこそがお客様に求められている弊社の価値だと感じています。

現在注目している分野はございますか。

最近特にご依頼の多いのがインバウンド・観光分野です。やはり2020年に向けて日本全体が訪日外国人の受け入れ態勢に力を入れている気がします。2016年には訪日外国人数も2400万人を超え、免税法が改正され、百貨店やドラッグストア、コンビニエンスストアおよび飲食業界などさまざまな業界で訪日外国人に向けての多言語対応に力を入れています。そんな中、弊社でも多言語の需要に対応するため外国人スタッフの増強や外国人インターン生を積極的に受け入れています。ただ、先述した観光分野に関しては、オリンピックも決まり訪日外国人が増えていますが、この分野はAI(人工知能)で対応できるところもあると思いますので、弊社としては、もう少し人の手がいる分野に力を入れたいと考えています。
また、新しい取り組みとして、2012年から研究所や民間会社と共同して、翻訳支援システムのコンサルティングをおこなっています。B to B(企業間取引)の製品となり、企業向けの翻訳支援ツールとして活用しています。今後クラウド時代の世界規模の翻訳にどう対応していくかチャレンジしていきたいと思います。以前に比べて翻訳業界も大きく変わってきていますので、専門性を持ったりISOを取得したり、翻訳会社としてのステータス・価値がないと、今後差別化を図ることができないと感じています。

最近ニュースでも話題になっているAIですが、翻訳という仕事にはどのような影響があると思われますか。

AIやGoogle翻訳などは今後さらに精度があがっていきますので、翻訳者の方もAIに勝るスキルを持たないといけなくなると思います。ただ、AIに全てを任せるということはありませんので、機械翻訳にかける前に機械が翻訳しやすいように日本語を編集・リライトする「プレエディット」と、機械が翻訳した訳文をチェックする「ポストエディット」というスキルが今後必要になるかもしれません。

翻訳者の方が持っていると嬉しいスキルはありますか。

日本人であれば日本語力は必須ですね。日本語を正しく読み取れないと、筆者の意図とは違う翻訳が出来上がってしまいます。特定の分野だけでなく幅広いことに興味を持っておくと、翻訳にも幅が広がりいい訳文が出来上がると思います。特許などは直訳が求められますが、カタログやホームページなどは普通に翻訳するだけではなく、文意を読み取ったうえで美しい言葉にしなければならないコピーライターのような要素を含みます。翻訳者の方には、翻訳力だけでなく読ませる文章を書けるようなライティング力も身につけて欲しですね。
あとは調査能力がある人です。最近は翻訳者もインターネットを使って調べ物をすることが多いと思いますが、インターネットの怖いところは、間違った情報がさまざまなページにそのまま転載され広がってしまうことです。インターネットはもちろん活用いただいてもいいのですが、書籍は編集者やさまざまな人の目が通っていますので、書籍から情報の裏付けを取るようなことも必要です。情報を鵜呑みにせず疑ってかかる姿勢が大事です。

求める翻訳者像はどのような方でしょうか。

翻訳や翻訳に関連する仕事というのは、外国語と外国語を結ぶいわゆる異文化コミュニケーションを取り持つお仕事です。言葉にはそれぞれの国の文化や歴史や背景がありますので、他の国に対するリスペクトや異文化理解は欠かせません。自分本位な翻訳ではなく、相手の国への興味は勿論のこと、常にリスペクトや文化理解をもった翻訳者になって欲しいと思います。

今後のビジョンを教えてください。

「言葉の壁をなくし、真のコミュニケーションで世界に貢献する」です。現在、インターネットやソーシャルネットワークが普及して、世界中の人々が身近な存在になりつつありますが、言語が障壁になり自由にコミュニケーションが取れているとは程遠い状況です。「真のコミュニケーション」とは何かと考えてみると、単純に他の国の言語を自分の国の言語に置き換えるのではなく、相手の国の文化や歴史、環境などさまざまな要素を理解して相手に伝えるということではないかと考えます。私たちは、翻訳・編集・出版という仕事を通して、グローバル時代のビジネスや文化のコミュニケーションのお手伝いをしています。さらに、外国語を日本語に翻訳するだけでなく、日本の文化、技術、思想、情報などを海外に発信し常に革新的なイノベーションを創造していきたいと考えています。

最後にこれから翻訳者を目指す方へメッセージをお願いいたします。

これから翻訳者を目指す方にとって、翻訳業界は今後将来があり、魅力ある業界であると思います。翻訳者を目指す方はたいてい語学が好きで翻訳業界を目指してきますが、語学だけでなくコミュニケーション能力がとても要求されます。限られた納期の中で、クライアントの要望を的確に反映した納品物に仕上げなければなりません。非常にプレシャーもかかりますが、大きなプロジェクト等を翻訳者、翻訳会社とのチームでやり通したときは、世の中の役に立っているという実感が湧いてきて嬉しいものです。特にインターブックスでは、翻訳工程のなかに編集やデザインレイアウトなど、翻訳以外の工程もありますので、出来上がった印刷物や書籍などを手にした時の喜びはひとしおです。
明治時代に福澤諭吉が「Newspaper」を「新聞」と翻訳した訳語が、現代になっても使われています。これは100年後でも使われているでしょう。ITなどの新しい分野は訳語を作らないといけないこともありますが、作った訳語が世間に広がります。自分の翻訳したものが半永久的に残るので、翻訳者の皆さんは誇りを持っていただいていいですし、それだけ重みのある仕事だと思います。ILCの受講生の皆さんへはぜひこの業界に入って、縁の下の力持ちになって社会に貢献しているのだと実感を持っていただければと思います。