皆さん、こんにちは。
ILC国際語学センターです。

証券金融翻訳コースは、課題の提出方法が2通りあります。

1つ目は各受講生が先生に課題を提出していただきます。
2つ目はワークショップ形式として、1つの課題を受講生の皆さんで取り組んでいただきます

このグループワークが本コースの特徴の1つですが、実際どのようにグループワークが行われているのかイメージが沸かない方もいらっしゃると思います。
そこで、今回はグループワークの流れを簡単にご紹介させていただきます。

グループワークの大まかな流れは以下の通りになります。
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1)先生から課題配布(1週間前の月曜日)&リーダーによる分担指示
先生が課題を配布するさいに、受講生の1人をリーダーとして指名します。
このリーダーの方にはスケジュール管理訳語の統一受講生皆さんの訳文をまとめるという作業を行っていただきます。
リーダーは持ち回り制になりますので、全員の受講生さんが少なくとも1~2回はリーダーをご担当いただきます。

2)各自下訳を提出し同報メールで全員に送付&メールでグループ・ディスカッション(作業時間:3~4日間)
リーダーからの指示に従い、皆さんには下訳を提出してもらいます。
下訳を提出するさいは宛先:受講生全員、CC:菅原先生とILCを入れてもらい、提出していただきます。
ここで疑問点、不明点をお互いに議論してもらいます。

3)初稿提出(翌火曜日)
リーダーによる責任編集を経て、先生に初稿の訳文を提出してもらいます。

4)授業(木曜日) 
下訳や皆さんのディスカッションのやりとりを踏まえ、先生から講評・解説を行います。

5)最終稿提出(日曜日)
授業でのフィードバックを踏まえて、皆さんに訳文の修正をディスカッションしてもらい、最終稿を先生に提出していただきます。
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もう少しイメージが湧くように、
実際のディスカッションの様子のサンプルをご紹介いたします。

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例)リーダーである受講生Aさんからの最初のご連絡
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To:受講生の皆さんのメールアドレス
CC:菅原先生、ILC

皆様
CC:菅原先生、ILC

お疲れさまです。今回のリーダーを務めるAです。
まだあまり慣れてないので、至らないところがあると思いますが、宜しくお願いいたします。

まず、共通する事項を以下の通り確認しておきたいと思います。
①文体は「である」調で(新聞の論説のイメージ)
②文字のフォントはMS明朝体(10.5)で、英文字の場合Century(10.5)
③句読点は英語表記の場合も含めて、「、」「。」を使用する。
④かっこ「( 」、「 )」は全角を使用する。
➄副詞(「何故」、「専ら」など)、接続詞(「但し」、「従って」など)、
連体詞(「或る」、「斯かる」など)の類いは原則として「ひらがな」表記(ただし、例外もあるかもしれません。)

今回の担当
P1の1~10行目 受講生Bさん
P1の11~20行目 受講生Cさん
P1の21~20行目 受講生Dさん
P1の21~30行目 受講生Eさん
P1の31~36、P2の1~5行目 受講生Fさん

万一、以上の理解で間違っている場合は、ご指摘頂ければ幸甚です。
その他、上記以外で見落としている項目があれば、教えて頂けると助かります。

スケジュールはご都合にあわせて柔軟に変更致しますので、
いつでもご連絡ください。

リーダー Aさん

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例)下訳提出時のやりとり
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To:受講生の皆さんのメールアドレス
CC:菅原先生、ILC

皆様

お疲れ様です、Bです。
私の担当訳をお送りします。

【疑問点】
私が担当したこちらの文章の構造がわかりにくく、訳文がヘンなことになっています。
お知恵を拝借できればと思います。

(原文)
In some cases, policy measures are made up on the fly and without the help of a master plan that imposes the internal consistency needed in such a radical shift in policy regimes.

(下訳)
ある事例においては、政府施策は早急にまとまり、内部調整を必要とする基本計画の助けなしに政策圏内で急激な変化がおこなわれる。

主語policy measures に対する動詞がare made upとare neededの2つと考えたため、
without~consistencyの部分がヘンな日本語のまま浮遊している感じです。
動詞のとらえ方が間違っているのかもしれません。

よろしくお願いします。

受講生Bさん

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例)Bさんの質問に対してDさんからの回答
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To:受講生の皆さんのメールアドレス
CC:菅原先生、ILC

Bさん
お疲れさまです。

たしかに、長くて訳しにくい文章ですね。

全体としての意味は「政策手段が大慌てで、~を欠いたまま作られている」という構造だと思います。
つまり、policy measures(主語)の動詞はare made upだけで、
on the flyとwithout the help of~がこれを修飾していると考えてはいかがでしょうか。

この場合、~以下の部分が長いため、Bさんのようにon the flyの部分を先に訳すのもアリだと思います。
実は、私もそうしました。しかし、「政府施策は早急にまとまり」と自動詞的に訳されているので、少し意味が取りにくくなってしまったのではないでしょうか。
そこで、あえて直訳して「早急にまとめられている」とそのまま他動詞の受身的に訳した方が、全体の意味がつかみやすいのではないかと思われます。

後半のwithout~の部分ですが、needed以下の語はthe internal consistency(国内における整合性)を修飾していると理解すれば、全体の意味が取れるのではないでしょうか。

宜しくお願いいたします。

受講生Dさん

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このようなかたちでディスカッションを行っていきます。
CCに先生も入っていますので、ディスカッションのやりとりにおいても、先生からヒントやアドバイスをお伝えしています。

グループワークを行う理由

このグループワークを行う理由は、「商品としての翻訳」になります。
自分1人では知りえなかったウェブサイトや参考文献などお互いに知の共有を図ることができます。
また、同じクラスの方から自分の訳文についての指摘を受けることができ、
自分の文章を客観的に見直す良い機会となります。

ぜひ4月からの証券金融翻訳コースのご受講をお待ちしております!

証券金融翻訳コース