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第12回:リスニング対策2

リスニングのセクション1と2では、日常生活で交わされる会話を聞いて、そこで話題となっていることや特定の数字や事実を聞き取る能力が必要となります。話題に関することを問う設問の例としては、たとえば、Why is the student phoning the language school? / Where can we suppose this conversation is held?  などが考えられます。

特定の数字や事実をはっきりとさせておくためには、会話を聞きながら、それをメモに取っておく必要があります。リスニングの4つのセクション全てにおいて、このメモ取りの技術が重要になってくることは、前回の記事でも指摘した通りです。

特定の数字や事実を問う設問の例としては、たとえば、
The class the woman wants to take is         . / The phone number of the student is        . / The Business English course begins on       . のようなものです。

記号を選ぶのではなく、実際に英単語を書かなくてはいけない問題では、つづりや句読点、文法に間違いがないことを確認します。会話の中で、人名・地名などのつづりが1字1字読み上げられることがよくあるので、その際は間違いなくつづりを書き取りましょう。受験者がケアレスミスをしやすい点をいくつか上げると、

同じ文字が重なる単語のつづり:Mac Williams
大文字で始まる単語: London, business English, April
文法事項: 45 km, 3 hours

などがあります。また、この種の書き取り問題では、話し手によって繰り返し言われたり、強調して言われたりする言葉が答えになることが多いので、そういった言葉に注目しましょう。
次の例を見てください。

放送内容の例(一部)


School Receptionist: “Which course would you like to join?”
Woman: “I would like to take the Business English course on Thursday night.”
School Receptionist: “OK, so that is the Business English course.”
Woman: “Yes, that’s correct.”
Question 1 What course does the woman want to take? という設問の答えは、女性(客)と学校の受付の人によって繰り返し言われている the Business English course となります。

始めに聞こえてきた情報が、後で訂正されることがよく起こるので、メモを取るときには注意が必要です。次の例を見てください。

放送内容の例(一部)

Woman: “When does the course start?”
School Receptionist: “The lessons commence on April the 7th and finish on the 12th of June.”
Woman: “Thanks very much.”
School Receptionist: “Oh, I’m sorry; they actually start on April the 1st.”
Question 2 When does the course begin?

この設問に対しては、当然、April the 7th ではなく、April the 1st と答えなくてはいけません。

先読みして答えを予想することで、話題となっていることや特定の数字や事実に関してきいてくる設問に備えることができます。各リスニングのセクションの放送が流れる前に、問題を読むための時間がそれぞれ30~45秒ほどあるので、この時間を使って、聞き逃してはいけない情報の予想を立てます。問題文を読むと、答えとして何が求められているのかが見えてきます。たとえば、求められている品詞(名詞,動詞,形容詞,副詞など)は何であるかということや、求められている情報のタイプ(日付,数,場所,価格,時間など)は何であるかということです。
次の例を見てください。

問題文の例


Question 3 to 5
Complete the notes below.
Write NO MORE THAN THREE WORDS AND/OR A NUMBER for each answer.

3 Cost of the course
4 Total number of students
5 Textbook required

設問3の空所には、料金が入るので、£(pound/ポンド)や$(dollar/ドル)といった単語が放送で使われることが予想されます。設問4の空所には、生徒の総数が入るので、生徒の数に関する内容はメモを取る必要があることが分かります。設問5の空所には、使用される教科書の名前が入るので、放送で流れてくる教科書の名前に注意を払う必要があるのが分かります。

リスニングセクション1と2で気をつけること


リスニングのセクション1と2では、地図、計画表や図表の空所に情報を埋めていく作業が課されます。放送が流れる前に、視覚に訴える情報源に目を通し、情報がどのように配置されているかを確認します。

例えば、地図ならまず方角(東西南北)を確認します。
次に、小見出しや地図上の特徴的な地形や構造物(川、建物、道路など)の配置を押さえます。放送が始まったら、聞きながら、場所を示す前置詞(句)(in front of, next to, behind, opposite, across from, on the left/right)や話者が出す指示(turn left/right, walk straight ahead, take the second left/right)に注意を払います。

リスニングセクション3で気をつけること


セクション3と4では、アカデミックな場面で交わされる会話を聞いて、話題となっていることや特定の数字や事実を聞き取る能力に加えて、話者の態度や意見を理解する能力が求められます。話者の態度や意見を正しく理解するためには、実際に発話された言葉や用いられた表現の背後にある話者の真意を汲み取ることができなければなりません。なぜなら、話者は、心で思っていることをそのまま言葉で表現するとは限らないからです。話者の真意を汲み取るには、発話中のイントネーション(抑揚)やストレス(強勢)の置かれた個所が手がかりになります。

ですから、話者がどのようにイントネーションの上げ下げをしたか、どこにストレスを置いたかに注目しましょう。話者のためらった話しぶり、話をする速度、イライラした感じや皮肉っぽい口調、関心無さげな対応といったことに注目することでも話者の真意を読み取れるでしょう。実際に発話された表面的な音声情報を理解できることが重要であるのと同じように、ことばの背後にある意味を理解できることも重要なのです。

セクション3では、数人の話者が登場するので、重要になってくるのが、どの話者が何を言ったかを区別することになります。したがって、放送が流れたら、何人の話者がいるのかを最初に押さえます。その際手がかりになるのが、なまり(オーストラリア人の発音、イギリス人の発音など)、声の質(高いのか、低いのかなど)、話す速さ(速いのか、遅いのかなど)、意見の内容(同意しているのか、反対しているのかなど)、様子(興奮している、いら立っているなど)、性別や役割(教師、学生など)になります。

リスニングセクション4で気をつけること


セクション4では、1人の話者がアカデミックな話題に関して話をすることになるので、用いられる言語はとてもフォーマルなものになります。話の構成は論理的、かつよく練られたものになっています。多くの場合、これから話す内容の概要が初めに語られ、次に、具体例を出して説明をしたり、論理の補強をしながら本論が語られます。そして最後にまとめがきます。

話者は、概要、本論、まとめに入る際、それから具体例を出す際に、前もってそれと分かるように、ある決まりきった表現を用いるのがふつうです。その表現が使われることによって、聞き手のほうは次にどういったことが語られるのかを予想することができるので、話者の話について行きやすく、話の内容を誤解することがなくなります。
このような表現を以下に挙げておきます。

比較・対照を表す内容を導く表現:On the other hand, However, など
新しい話題を導く表現:Now, let’s move on to …, Now, let’s turn to the question of …, など
例を導く表現:For instance, For example, To give you an example, など
追加の内容を導く表現:Another negative aspect is …, The other main benefit is …, など
まとめを導く表現:Finally, The last thing I want to say is …, など

これらの表現は、ライティングのセクションで使う表現に非常に似ているということも頭に入れておくといいでしょう。

セクション4では、放送の内容を要約した文章の空所に語句を補う形式の問題がよく出題されます。さらに、この形式の問題は、空所に入れる語句を問題用紙に印刷された語句から選んで補うのか、音声情報から補うのかによって、2種類に分類できます。いずれにせよ、要約した文章は、いくつかの(完全な)文から成っているので、空所に語句を補った結果、文法的に正しい文章にならなくてはいけません。

この種の形式の問題では、空所に入る語句を予想することが解答する上で有効です。
予想するにあたって、次の2つのことが手がかりになります。1つ目は、“文脈”で、要約文の内容全体から考えて、論理的に空欄に入りうる語句を予想します。2つ目は、“空所の前後の語句”で、文法の知識を使って、文法的に可能な語句を予想します。
要約文中のキーワードに印を付けておけば、空所に入れるべき語句が放送でいつ流れてくるかが大体分かります。要約文中のキーワードは、放送では言い換えられることが多いので、放送から聞こえてくる実際の音声情報とは違う可能性が高いでしょう。

さいごに


リスニングテストは、どのセクションも放送を1度しか聞くことができないうえに、設問の種類も豊富なので、とても難しいテストです。ですから、実際に試験を受ける時と同じ条件下で、IELTSの模擬テストをたくさん受けて、試験に備える必要があります。しかしながら、一般的な意味でリスニング力を向上させることも大切なので、IELTSの教材だけを利用するではなく、テレビ、ラジオ、インターネット、映画、友達との会話、音楽など、幅広くいろいろなものをリスニングに活用するのが望ましいです。

今回で本コラムは終了しますが、このコラムを通じて皆さんのIELTSへの理解が深まり、お役に立てたなら幸いです。
1年間ご愛読ありがとうございました!

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※本記事は、2007年に週間Student Timesに掲載された記事を転載しております。現在とは問題形式が異なる場合がございますので、必ず最新情報はご自身でお調べください。


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