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IELTS対策と勉強方法 第1回目:最近注目を集めている IELTSとは?

IELTS は、英連邦諸国(イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなど)への留学を希望する人(英語を母国語としない人)を対象とする英語運用能力試験のことで、International English Language Testing System の略です。一般に、北米に留学を希望する人は TOEFL® を受験し、英連邦諸国に留学する人は IELTS を受験します。ですが最近では、アメリカの多くの大学でも IELTS スコアによる出願を認める傾向にあります。英連邦諸国の大学も TOEFL® スコアによる出願を認めていますが、英語運用能力不足の理由で条件付合格(Conditional Offer)となった場合には、渡航後、英語準備コースの受講と IELTS の受験を求められるケースが多いようです。

冒頭で、IELTS は留学希望者を対象にしていると言いましたが、IELTS には Academic Module と General Training Module の2種類があります。大学及び大学院への留学を希望する人は Academic Module を受験します。一方、英連邦諸国への移住を希望する人や、高校(Secondary School)、職業訓練コース(Vocational Training Courses)で学びたい人は、General Training Module を受験します。本稿では、圧倒的に受験者が多い Academic Module に限り解説していきます。

IELTS は1989年に初めて実施されたテストで、以下に挙げる3つの機関によって運営されています。
1)University of Cambridge ESOL Examinations (Cambridge ESOL):「ケンブリッジ英検」をはじめ、英語学習者向け各種テストを提供している機関
2)IDP:IELTS Australia:オーストラリアの国際教育機関で、英語学習者向けに英語教授、試験、出版などの幅広い活動をしている機関
3)British Council:教育機会の提供と文化活動に関するイギリスの国際機関
IELTS のオフィシャルウェブサイトは http://www.ielts.org/ です。もちろんサイト上の情報はすべて英語です。IELTS を受験しようとする人は、日本語の情報だけに頼らず、必ずこの種のサイトから直接情報を収集してください。また、前記3つの機関のウェブサイトにも訪問することをお勧めします。


●TOEFLi®BTとの比較


IELTS と TOEFL® のいずれも、留学を希望する人が、入学後の学生生活を送るに足る英語運用能力を十分に持っているかを測るテストです。TOEFL® は、この学生生活を送るに足る英語運用能力をより正確に診断するテストを目指し、TOEFL® iBT に移行されました(TOEFL® iBT に関しては、週刊ST2006年4月から2007年3月の各月最終週号を参照)。結果として、このTOEFL®iBT の試験内容は IELTS に近づいた形になっており(IELTS の内容は次回以降で解説します)、日本人にとってタフな試験になったと言えるでしょう。このことは日本の英語教育に一石を投じているとも言えます。つまり、IELTS や TOEFL®iBT が測る英語運用能力を習得させる教育が、日本に存在するか否かが問われているのです。これは、中学や高校でのいわゆる「学校英語」のみならず、大学での教育、さらに言えば英語教育機関すべてに対して当てはまるのではないのでしょうか。

IELTS は、海外の試験会場の一部ではコンピューターで受験する CB IELTS が導入されていますが、日本では現在のところ、紙の試験(Paper-Based)のみです。
ここで、IELTS について理解を深めるため、TOEFL® と比較をしてみます。

IELTS、TOEFL® のいずれの試験も、Reading 部門のパッセージが長いものであることが分かります。英語圏の学部や大学院では、授業の予習のために、大量の読むべき論文、資料などが学生に対して課されます。したがって、受験者が高い「読む力」を持っているか否かを判定するため、IELTS も TOEFL® も長いパッセージを用意しています。

●IELTS を通して英語運用能力を高めよう


日本の英語教育は、アメリカ英語が主流ですので、イギリス英語とアメリカ英語の違いを心配されている方もいると思います。両者間には、スペル、表現、文法上の違いなどが確かにあります。しかし、IELTS においてアメリカ英語のスペルで解答しても採点に影響を与えません。ただし、同じ単語でイギリスとアメリカで意味が異なるものなどは知っておく必要があるでしょう。発音については、イギリス英語に慣れるしかありません。人によっては、音と音がつながって発音されるアメリカ英語よりイギリス英語の方が聞き取りやすい場合もあります。

TOEFL®iBT は、デジタル社会アメリカを象徴する試験であり、解答するためのコンピュータースキルやタイピングスキルも必要になってきます。一方、Paper-Based IELTS は、アメリカと比べるとアナログ的なものを多く残しているイギリス社会を象徴しているようにも思えます。
現在、IELTS の受験者は、中国で増えています。これには、要求されている TOEFL® スコアを取ったとしても、ビザの取得などでアメリカに留学するのが難しいという認識が、中国の人たちに広がっている事情があるようです。日本でも IELTS 受験のための勉強をしている人が増えているような傾向が見受けられます。

IELTS 受験に向けて勉強することは、「話す」「聞く」「読む」「書く」の4技能をバランス良く修得することにもつながると思います。留学を希望しているわけではない学生や一般の英語学習者にも、IELTS の勉強をお勧めします。

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※本記事は、2007年に週間Student Timesに掲載された記事を転載しております。現在とは問題形式が異なる場合がございますので、必ず最新情報はご自身でお調べください。

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