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実際に特許翻訳に携わる方でも、クライアントである弁理士や弁護士の方とお話しをする機会はあまり無いことでしょう。そこでILC大阪校では、去る9月25日に経験豊かな弁理士・弁護士の方をお招きして1日セミナーを開催しました。英語力はもちろん、海外経験も豊かな御三人。今回の企画を立ち上げた時点で、適役を探しに探したのですが、誰に聞いても、お名前のあがるその筋では有名な先生方ばかりです。


そうした先生方の知名度もあり、今回のセミナーは満席。来られた方は、ILCの在校生・卒業生だけではなく、特許翻訳の先生方、そして翻訳者の方とキャリアの在る方もたくさんご来場頂きました。遠方からご参加された方もいらして本当に嬉しい限りです。


トップバッターは、三枝国際特許事務所の立花顕治弁理士。ワシントンでの特許事務所実務研修を積み、米国パテントエージェント試験に合格され、阪大で客員教授も務められている特許界の若きエースです。「特許翻訳者を責めるまえに、特許明細書の原本にも問題が在るのではないか」という持論をお持ちの立花先生は、とても分かりやすく特許そのものの意義と特殊性を解説され、日本語で特許文書を読むことに慣れる必要性をご指摘されました。そのほかネイティブと非ネイティブの訳し方の違いも参考に出され、実際に翻訳する方にはとても役立つ内容の講義でした。


お二人目は、三協国際特許事務所の矢部達雄弁護士。米国パテントエージェント試験に合格された後、米国の大学院にて法学修士取得され、NY州米国弁護士でもあるベテランです。アメリカ好きが昂じて、ここまでの高いキャリアを積まれた矢部先生は、ご自身の豊富なご経験から特許翻訳者の「人となり」についてのお話をされました。ラフな雰囲気での講義は、簡単な言葉でありながら、特許翻訳者として活躍されている方そしてこれからされる方にとって大きな指針となったようです。


最後はジャッジ パテント アソシエイツの代表ジェームズ・ジャッジ先生です。長期にわたり大阪特許事務所で翻訳者、米国特許弁理士として活躍された後、2007年に会社を設立されました。今回のセミナーでは、特許翻訳で良くあるミスを挙げながら、ネイティブから見た正しい英語表現についてユーモアたっぷりに講義をされました。例として出されたものは、特許翻訳者がつまずくポイント満載で、頂いた資料は後々も活用できる資料でした。


この三人三様の1日セミナー『弁理士が語る』。特許事務所の方のお話を一度にたくさん聴くことの出来た今回のセミナーは、ILC大阪校でも新しい試みでしたが、アンケートの結果を見るとほぼ全ての方が内容に大満足され、次回の開催を求める声も多く見かけられました。シリーズものとしてまた引き続き企画・開講したいと思っていますので、今回参加できなかった方も次回はぜひご来校下さい。


ILC大阪校 高本美佐子