皆さんこんにちは。
ILC国際語学センターです。

「ILCの教室では実際どんな授業が行われているのでしょうか?」、「授業や学校の雰囲気がどんな感じか気になる!」という声にお応えして、各翻訳コースの授業の様子をレポートしていきます!

今回は『ビジネス文書和文英訳講座』をご紹介します。

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「ビジネス文書和文英訳講座」は、挨拶文、スピーチ、プレスリリース、パワーポイント資料などを題材に、ビジネス文書の英訳の基本となるスキルを習得する講座です。

課題文の分量はA4用紙で1枚程度。
毎週火曜日に授業があり、受講生には、日曜日までに課題をメールでご提出いただきます。

 

第5回目の課題は、HPやパンフレットなどに掲載される企業社長の挨拶文でした。

 

課題の解説に入る前に、まずトニー先生から注意が促されました。
「ビジネス文書には、絶対に間違えてはいけないものがあります。会社名、人名、日付、金額などは何度もチェックしましょう。これは翻訳だけでなく、英文作成の場合も同様です。」

「また、今回の課題文の中には、”佐藤”という名前が入っていました。昔はsatohとhを入れるのが主流でしたが、現在はSatoとhを入れないのが一般的になっています」といった、固有名詞の表記法などについても言及されました。

続いてトニー先生は、「今回の課題文にはトリックが仕掛けてあります。原文に誤りがあるのに気づきましたか」と受講生に尋ねました。

課題文を注意深く読むと、確かに「2000年でおよそ30億トンであったものが、2015年度で60億トン」とあり、「年」と「年度」が混合して使われています。

「このように原文の単語が統一されていない原稿はよくあります。この場合は、『年度』のほうにfiscal yearを入れて区別すればよいでしょう。原文の間違い探しをするのも翻訳者の責任です。
数字などが合わないときは、発注元に確認するようにしましょう」と実務に臨む際の心がまえについても伝えていました。

 

トニー先生の授業は「生徒参加型」とするために、各受講生への課題の添削は講義当日には配布せず、授業の翌日にメールで返却します。
授業では、指名された受講生がホワイトボードに各々の訳文を書き、それを先生が講評・解説する形で進みます。

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『明らかに』という日本語原文に対し、数名の方が『certainly』や『obviously』を使っていましたが、いずれとも話し言葉で少し砕けた印象を感じます。この場合は『clearly』という表現がよいでしょう」

「『1958年の創業以来、弊社は…』という原文で、『創業』の英訳として『establishment』や『starting』を使われていました。『beginning』は少し弱い表現です。『establishment』は悪くはありませんが、ビジネス文書でよく使われるのは、『our founding』ですので覚えておくとよいでしょう」

「『59年にわたって』という原文に対して『59 long years』という表現を使った方がいました。この英訳のニュアンスは皆さんどのように感じますか。ぱっと見るといいような表現に見えますが、ネイティブから見ると『59年は長かった』というようなネガティブなニュアンスを受けます。この場合は、『over the past 59 years』などの訳が適切です」

「私もofを選びますが、この場合はfromでも可能ですね」

日本人の方が悩む冠詞や前置詞の使い方訳文の微妙なニュアンスの違い英語らしい自然な表現の仕方など、英語ネイティブ翻訳者ならではの要点を押さえた貴重なアドバイスが続きます。
受講生の方は自分の訳文と比べながら、先生の解説に熱心に耳を傾けていました。

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先生からの講評が終わった後に訳例を配布し、今度は課題の文語調の硬い挨拶文をスピーチ原稿に書き換えるというアクティビティーをおこないました。

「このような作業は実は一番大変です。クライアントの中には、英語が得意でない方も多くいらっしゃいます。
スピーチ原稿は、発音しづらい単語や難しい表現をいかにやさしい話し言葉に書き換えるか。これが重点になります。」

トニー先生が実践している英訳プロセスの説明も加えながら、ブレーンストーミングを取り入れた学習になっており、とても印象深い内容になりました。
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受講生の方の感想を一部ご紹介します。

・ビジネス文書はなるべく簡潔な英文であらわすことや、カジュアルさの度合いを意識して文章を作るなどの原則を説明していただけたことが、とても役立ちました。

・先生からの説明をただ聞くという形ではなく、生徒の訳を直しながら解説し、さらに訳例を最後にいただけるという形だったので、英訳の際にどこで引っかかりがちかという自分の傾向がわかりました

・様々なビジネスシーンで使える表現方法、kindやvery muchなど原文にない語を加えるワンランク上の英訳方法口語と文語の英語表現の違いなど、3か月とは思えないほど多くの事を学べました。とても充実した講座です。

・クラスの雰囲気全体も和やかで、自分の失敗をおそれずに参加しやすい空気だったことがありがたかったです。とくに第10回のパワーポイント課題は、受講生それぞれの特徴も面白く、発表形式だったことが非常に有意義でした。

・トニー先生が授業中にも添削の中でも、「いいですね」とコメントして下さったり、次に活かせるようなアドバイスを下さったことがモチベーションにつながりました。

 

★講座情報★
トニー先生が担当する「ビジネス文書和文英訳講座」は、今回ご紹介したように、議事録やビジネスレター、パワーポイントなどの各種ビジネス文書を題材に、和文英訳のノウハウを伝授します。
授業はすべて日本語で解説しますので、翻訳を始めて学習する方でもご受講いただけます。
ぜひご受講をお待ちしております!

講座の詳細はこちら>>
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