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第10回:リスニングテストについて

今回と次回はIELTSのリスニングテストを取り上げます。

IELTSのリスニングテストは約30分間行われます。テストは4つのセクションからなり、それぞれのセクションで10題ずつ、計40題出題されます。セクションが進むごとに問題の難易度が上がっていきます。
最初の2つのセクションは生活全般にかかわるもので、交通機関や宿泊施設の予約をしたり、余暇のスケジュールの手配をしたりする状況設定となっています。残りの2つのセクションはアカデミックな話題に関するもので、セミナーやチュートリアルに参加したり、講義を聴いているなどの状況設定となっています。

セクション1では、2人の話者(友人、職場の同僚、店員と客など)が登場し、会話をします。セクション2では、1人の話者が登場し、旅行の案内をしたり、録音されたメッセージやラジオ番組の声の主であったりします。セクション3では、セクション1のように登場人物の間で交わされる会話を聞くことになりますが、その内容はアカデミックな場で交わされる会話の内容となっています。セクション4では、1人の話者が登場し、アカデミックな議論を展開して話をします。

どのセクションも、放送は1度しか流れません。4つのセクションのすべての放送が終了すると、試験の最後に10分が与えられるので、受験者は自分の答えを問題冊子から解答用紙に清書します。この答えを書き写す時間の間に、単語のつづり、句読点、文法が間違っていないかを確認します。書き間違いがあると失点します。

リスニングテスト問題の形式


リスニングテストで問われる問題の形式には、以下のようなものがあります。

①図表・要約・文の完成

− 与えられた図表・要約・文の空所に、放送の内容に沿って、指定された語数以内で数字や語句を補って完成させる。

例 Complete the sentences below.
Write NO MORE THAN THREE WORDS for each answer.
1 In the IELTS Listening Test, you do not have time to write down every word you hear.
2 Note taking skills help you to concentrate while you are listening or reading.

ここでは、語数を指示した英語表現に気をつけてください。「no more than ~ words」というのは、「~語以内で/~語を超えないで」という意味です。ですから、上に挙げた2つの例では、3語(to write down)と2語(to concentrate)で解答を書いています。指定された語数を超えた解答は不正解とみなされるので、注意しましょう。

②多肢選択

不完全な短文の前半部分につながる内容的に正しい後半部分を3つある選択肢の中から選ぶ。

例 Choose the correct letter, A, B or C.
1 ILC is a
A leading school for learning foreign languages.
B public organization for helping labourers.
C competitive company of making cars.

③マッチング

− リストに挙がっている項目とぴったり当てはまる選択肢を結び付けていく。

例 What does the lecturer say about each newspaper?
Choose your answers from the box and write the correct letter A-D next to questions 1-2.

A reasonable price and excellent
B confusing
C expensive and conservative
D well illustrated

1 The Washington Post
2 The New York Times

④英問英答

− 英語の質問に放送の内容に即して英語で短く答える。使用できる語数が指定されている。多くの場合、3語以内(no more than three words)。

例 Answer the questions below.
Write NO MORE THAN THREE WORDS AND/OR A NUMBER for each answer.
1 In which newspaper did the speaker read the article on IELTS?
2 How long has he subscribed to the newspaper?

⑤分類

− リストに挙がっている項目を条件にあう選択肢に分類していく。

例 When are the following classes scheduled for in ILC?
A on Mondays
B on Wednesdays
C on Tuesdays and Fridays

Write the correct letter, A, B, or C next to the questions 1-3.
1 Chinese for business purposes
2 elementary English conversation
3 preparation course for TOPEC exam

⑥地図上の位置や名称の確定

− 放送を聞いて、地図上の地名や位置を確定し、選択肢から正しい答えを選択する。

例 Label the map below.
Choose FOUR answers from the box and write the correct letter A-E next to questions 1-4.
A high school
B coffee shop
C university
D movie theatre
E library

地図
以上の問題形式のうち、いくつかのものは具体例を挙げて次回の記事で扱いますが、その他の問題形式に関しては、インターネットを使って“IELTS listening test practice”で検索してみてください。IELTSを扱ったたくさんの優良ウェッブサイトがありますので、有益な情報を得られるでしょう。

リスニングテストの対処法


上記の問題形式すべてに対処するのに有効である一般的な方策を述べていきます。

4つのセクションの放送が流れる前に、問題を読むための時間がそれぞれ30~45秒ほどあるので、この時間を有効に使って問題文中のキーワードに印を付けていきましょう。また、それぞれのセクションの放送が終わった後に、解答を見直す時間が30秒ほどあるので、自分の解答に自信があるときには、この時間を次のセクションの問題を読む時間にあてましょう。問題に書かれている内容から、放送の内容や会話がなされている状況(誰が、どこで、いつ、なぜ、何を話しているのか)を推測します。また、自分が持っている知識を使って、書かれている文字情報から答えを絞り込むことが可能な場合もあります。

解答していく問題の順番は、放送で流れてくる音声情報の順番に一致しています。放送を聞いている間、(連続した)複数の問題に意識を集中させ、ある問題に関係した音声情報を聞き逃したときには、その次の問題に意識を切り替えます。聞いた内容をメモすることも重要になります。メモを取る技術は、学生生活を送るうえでとても重要な技術になりますので、IELTSの勉強を通して是非とも身に付けたいものです(メモの取り方は後述)。

リーディングの対策記事の時にも述べたように、IELTSの4つのセクション全体を通じて、語い力は非常に重要になります。特に、このリスニングのセクションではそうです。また、単語の意味や似た意味を持つ形の違う単語(synonym:類義語)を正しく理解しているかが問われることが多いのもリスニングの特徴です。同じ意味内容のことを表現するのにも、類義語や反意語(opposite)を用いて単語や語句を言い換えて表現することが多いので気をつけましょう。

つまり、問題冊子に印刷されている問題文に使われている語句は、放送で流れてくる放送文の語句とは異なっているけれども、同じ内容を表現していることが多いのです。

メモを取る意義と取り方


IELTSの試験は受験者の英語能力を測るだけではなく、受験者が大学に入ってから必要になる技術を養ってもくれます。その技術の1つがメモを取るという重要なアカデミック・スキルです。メモを取る技術は、IELTSの勉強を通じて、リスニングやリーディングで養うべき技術になります。

IELTSのリスニングテストでも、大学の講義でも、聞いた言葉をすべて書き取ることはできないので、聞いたことの中から重要な情報だけをメモします。メモを取るときには、つづりや文法のことは気にする必要はありません。以下にメモを取るコツをいくつか挙げておきます。

1.冠詞や繋辞語句などは省略する。a, an, the, is, are, was, were, would, of など。
2.代名詞は省略する。they, these, his, that, this, them など。
3.記号を利用する。+:and/plus (そして/プラス), =:same/equals (同じ/等しい), -:minus (マイナス), ×:times (倍), >:greater than/more than (より大きい/より多い), <:smaller than/less than (より小さい/より少ない), w/:with (と一緒に), w/o:without (なしで), →:leads to/results in (に至る/という結果になる), ←:comes from/results from (から来る/から生じる) など。
4.単語の始めの数文字だけを書く。approximately を approx など。
5.単語の母音を落として書く。large を lrg など。

最後にメモの取り方の具体例を挙げておきますので、参考にしてください。

放送内容の例


“In Listening section 1, there is a dialogue about a general topic between two speakers, and there are 10 questions that you have to answer.”

メモの一例


Lis sec 1 = 2 spkrs, gen topic, 10 Q’s

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※本記事は、2007年に週間Student Timesに掲載された記事を転載しております。現在とは問題形式が異なる場合がございますので、必ず最新情報はご自身でお調べください。

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