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第6回:ライティング対策3 ~エッセーの書き方~

IELTSのライティングテストの課題2では、与えられた話題に関してエッセーを書くことになります。このエッセーは最低250語なくてはいけません。解答の時間の目安は40分になります。この課題2は課題1よりも配点が高いので、必ず制限時間内に書き上げることが重要です。

受験者のライティング能力を測るためにさまざまなタイプの質問が用意されています。たとえば、(1)議論を促す質問 (2)問題に対する解決策を提示させる質問 (3)意見や物の見方を問う質問などです。
具体的な例題を2つ挙げておきます。

【例題1】Write about the following topic:

It has become popular for high school graduates to take a ‘gap year’ before entering university. It is claimed that travelling or working for a year before studying will benefit them personally and academically.
To what extent do you agree or disagree?Give reasons for your answer and include any relevant examples from your own knowledge or experience.

受験者のライティング能力は、次のような観点で評価されます。
①説得力のある証拠を示して意見を提示しているか。
②自分の意見とは異なる意見に論理的に反論できているか。
③話題に関係ないことには言及せず、関係あることだけに焦点を絞っているか。
④読み手にわかりやすく、論理が首尾一貫しているか。
⑤英語を正確にそして適切に使用しているか。

課題2で出題される話題としては、(1)雇用問題 (2)環境問題 (3)教育問題 (4)社会問題 (5)科学技術 (6)文化 (7)旅行 (8)生き方などがあります。
決められた時間内で意見や考えを書けるようになるためには、継続した練習を要します。ですから、日頃から新聞や雑誌を読んだり、テレビを見たり、授業で討論をしたり、インターネットを使って情報を集めましょう。「これはIELTSの課題2の解答として使えるのではないか?」と、使える表現を意識的に蓄えて準備しておくのがいいでしょう。解答に使えそうな事実、議論、考えや意見はノートに書き留めておくのも試験対策として役立つでしょう。

IELTSのエッセイでは、フォーマルな英語を用いることが求められます。フォーマルな表現はインフォーマルな表現に比べて、客観的で個人的感情を含まないのが特徴です。フォーマルな表現は、アカデミックな書き物の他にも、公文書や公的な報告書などの書類で用いられる文体です。一方、インフォーマルな表現は、新聞や雑誌、個人的な手紙の中で用いられる文体です。課題2のエッセイでは、フォーマルな表現とインフォーマルな表現を混在させることなく、フォーマルな表現で統一して書かなくてはいけません。

■フォーマルな英語で書くことが求められる


フォーマルな書き物の重要な特徴として、個人的な意見を表す表現を避けるということがあります。IELTSの課題2では、個人的な意見を述べて、議論を展開することも認められてはいますが、一般的な意見として意見を述べ、議論をすることをお勧めします。そうすることで、エッセーの客観性を保つことができます。次のチャートを見ていただくと、意見の述べ方に関するフォーマルな表現とインフォーマルな表現の違いがおわかりになると思います。

インフォーマル・フォーマルな表現
フォーマルな書き物の別の特徴として、語句の短縮形を使わないということがあります。IELTSのライティングテストでは、語句の短縮形を使わないようにしてください。たとえば、次の2つの例文の太字の部分の語句を短縮形にしてはいけません。

It is said that people should not / ×(shouldn’t) pollute the environment.
Some people argue that their lifestyles are not / ×(aren’t) responsible for global warming.

フォーマルな書き物の3つ目の特徴として、仮説的な表現を使う傾向を挙げることができます。「AはBだ」のように断定的に書いてしまうと、その陳述があたかも100%真実であるかの印象を読み手に与えます。読み手からの反論を極力招かないためにも、「AはBかもしれない」「たぶんAはBだろう」のように断定的な言い方を避けた方が無難です。具体的には、法助動詞(can, could, should, may, might)、副詞(probably, possibly, perhaps)、形容詞(probable, possible)などを使います。

これらの語句を使った例文
It is argued that companies which pollute the environment should be fined.
Many Japanese parents believe that attending a juku is probably one of the best ways to improve their child’s academic level.
Educating children about food is a possible solution for childhood obesity.


■繰り返しや単文の罹列は避ける



同じ単語や表現を繰り返し使うと、文章が読み手にとって読みづらいものになってしまう場合があります。前に述べたこと・ものは代名詞を使うことで繰り返しを避けることができます。そして、そうすることで文章がもっと読みやすく理解しやすくなります。代名詞は、たいていの場合、前に出た一番近くの名詞(句)を指します。しかしながら、代名詞を使う場合には、代名詞が指す内容がはっきりと読者にもわかるように、注意して使う必要があります。
ここで言う代名詞とは、人称代名詞(he, she, it, they, his, her, its, their, him, them, etc. ...)と指示代名詞(this, that, these, those)のことです。次の例文の太字の部分は代名詞とその代名詞が指す内容を表しています。

Industrial pollution is increasing as the world’s economy develops, and it will continue unless urgent action is taken.
To control the spread of bullying in the high school system, students, teachers and parents need to work together. This will only work with the co-operation of everyone involved.

繰り返しを避けるには、名詞句を段階的に短くして言い換えていく方法もあります。次の例では同じ意味内容を徐々に短く言い換えています。

the increased radiation dosages that would be experienced at sea level
→the radiation dosages experienced at sea level
→the radiation dose at sea level
→sea-level radiation

もっとシンプルな例を挙げると次のような文があります。
University degrees are becoming more and more important throughout the world. With degrees, people are in a position to obtain a better job.


フォーマルな文書では、単文をただ羅列する文章構成はやめましょう。自分の英語力を示すためにも、様々な文構造の文を用い、文と文を論理的につなげていきましょう。文と文をつなげるには、文をつなぐ語句を利用します。
The increasing availability of music that can be downloaded over the Internet has had a serious impact on music companies. Furthermore, musicians have also suffered financially from it.

会話でよく使用される「get up」「put off」「find out」などの句動詞(動詞+前置詞)の使用を避けるのもフォーマルな文書の特徴です。句動詞の代わりに次のチャートにあるような1語の動詞を使いましょう。

旬動詞・1語の動詞
フォーマルな文書とインフォーマルな文書で使用される語彙の違いは、句動詞と1語の動詞だけではありません。次のチャートからもわかるように、名詞、形容詞や副詞などにも違いが現れます。

インフォーマル・フォーマルな動詞
課題2で書くことになる事柄や考えは、一般論として議論されることが多いので、適切な表現として名詞の複数形や不可算名詞を使うことになります。さらに、現在時制は一般的な真理や事実、習慣について述べるときに使われます。

Schools are responsible for the education of their students, but parents also have a responsibility for their children’s educational development.
Knowledge about global warming is extremely important for the development of effective solutions to this problem.

課題1と課題2を書き終えたら、書いた文章を必ず見直しましょう。文法的な間違いを探したり、文章の構成がおかしくないか調べましょう。

自分の書いた文書をチェックする際のポイントとして、次の7つのポイントを挙げておきます。
①主語と動詞の一致
②冠詞
③前置詞
④不可算名詞
⑤語形変化
⑥句読点(ピリオド、カンマ、大文字と小文字の区別など)
⑦単語の綴り

次号では、課題2のエッセイのパラグラフ構成(導入-本論-結論)について見ていこうと思います。

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※本記事は、2007年に週間Student Timesに掲載された記事を転載しております。現在とは問題形式が異なる場合がございますので、必ず最新情報はご自身でお調べください。

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