レポート・セミナー「弁理士が語る」


去る7月28日(土)、特許翻訳セミナーシリーズ第2弾「弁理士が語る」が実施されました。当日は猛暑日でしたが、ILCの在校生・卒業生をはじめ、一般の方も参加され、熱心に聴講されていました。

第1部は、「外国出願用の翻訳文の作成について」というテーマで、レクシア特許法律事務所代表・弁理士、立花顕治氏による講演が行われました。特許の意義、特許明細書の特徴に始まり、特許翻訳(とくに日英)におけるさまざまな問題について、整然とまとめられた資料に沿って講義され、これから特許翻訳の勉強を始める人、勉強中の人、さらにはすでに翻訳の実務をされている人にとっても、実践的で参考になる内容でした。

たとえば、技術的知識を補完するためには、同じ分野の明細書を読む、日英翻訳ならば、米国人が出願した米国特許明細書を読むのが効果的である、日本語明細書の特徴(例:1文が長い・・・)を理解した上で翻訳する、「実施形態の説明」の翻訳では、動作の記載では時系列を意識して訳す、効果の記載では因果関係を意識して訳す、機械系の翻訳では文字による記述はあいまいなので図面をしっかり見て訳す、などといった実務経験を通して得られたノウハウを披露していただきました。ただ残念ながら、90分の講義時間では予定された内容をカバーしきれませんでしたので、次の機会を期待したいところです。

第2部は、「Super Issue in Patent Translation」というテーマで、特許事務所ジャッジ・パテント・アソシエイツ代表、ジェームズ ジャッジ氏による講演です。ジャッジ氏は日本語が堪能で、講演も日本語で行われました。特許翻訳における個別の具体例についての日本語がわかる米国人の説明は説得力がありました。まずは、英語ネイティブでも間違いやすい、懸垂分詞についてのお話。つづいて、実際の商品パッケージに記載してある注意書きの英訳に関して、同じ「~時は」でも文脈によって訳し分けが必要という例。さらに、「~とする」、「~できる」、「場合」、「等」、「側」、「~すればよい」といったよく出てくる表現の訳し方について説明がありました。
また今回は、事前課題が出ていましたので、受講生としても自分の訳と比べるなど、興味を持って聴講できたようです。

なかなかクライアントである弁理士の方々のお話を聞く機会はありませんので、大変貴重なセミナーです。今回第2部も余りの内容の濃さに、時間切れとなってしまいましたので、第3弾の開催が望まれます。

ILC特許翻訳応用 担当講師
中野秀治