バイオ特許翻訳コース担当講師: 染谷悦男先生
 
「バイオ特許」とは、バイオテクノロジー分野の特許です。例えば、京都大の山中伸弥教授が発明したiPS細胞の作製技術の権利も日米に特許申請して特許になりました。

「バイオテクノロジー」とは、生物の持つ機能を人間社会に役立てる技術です。したがって、バイオテクノロジーは、技術分野を問わず、生物の持つ機能が利用する技術であれば、バイオテクノロジーの範疇に含まれます。
例えば、動物や植物を利用した新薬の開発のみならず、生命科学と情報科学を結びつけたバイオインフォマティックス等、いままで生命科学とは無縁だった技術分野の企業でさえも、自社の技術と生命科学とを融合させて、新たなバイオテクノロジー技術を創造しています。

一方、「特許」とは、発明に対して一定期間独占権を与えることで、発明の保護と産業の発展を図る制度です。特許を得るためには、発明を詳細に説明した明細書を提出しなければなりません(「特許出願」)。この書類を通して、発明の進歩性や新規性が審査官により判断され、問題がなければ特許を得ることができます。

したがって、「特許翻訳」とは、明細書の翻訳をおこなうことです。「バイオ特許翻訳」は、バイオテクノロジー分野の特許翻訳です。

では、明細書の内容はどのようなものでしょうか。明細書は、技術文献(論文)としての性格(技術を理解させる)と法律文書としての性格(発明の権利範囲を主張して特許権を得る)を有します。



技術文書(論文)としての性格を有するので、通常の論文と同様に、序論に相当する部分、実験の説明に相当する部分、考察に相当する部分が含まれます。一方、法律文書としての性格は、発明の権利範囲を定める「特許請求の範囲」という、論文にはない項目によって、表されます。

では、バイオテクノロジー分野の特許翻訳をどのように学んだら良いでしょうか。生命科学や特許とは無縁だった人ならば、(1)バイオテクノロジーの中心となる分子生物学の基礎を学び、かつ(2)特許翻訳そのものの基礎を学ぶところから、出発すると良いでしょう。

(1)については、多くの大学で教科書として用いられる「Essential細胞生物学」を通して、細胞レベルでの分子生物学を学ぶとよいでしょう。(2)については、実際の明細書に触れながら、翻訳の訓練をすると良いでしょう。

バイオ特許翻訳は、益々需要が高まる翻訳分野です。翻訳対象となる明細書は、繰り返し部分や類似する部分も多く、他の分野の翻訳に比べて、コストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。

では、バイオ特許翻訳の対象となる明細書の一例を紹介します。京都大の山中伸弥教授が発明したiPS細胞の特許(特許第4183742号)を見てみよう。

(1)特許電子図書館(http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl)にアクセス
(2)「特許・実用新案公報DB」をクリック



クリックすると、以下の画面が出てきます。




(3)「文献種別」に「B」を入力し、「文献番号」に「4183742」(半角)を入力します。その後、下にある「文献番号照会」をクリックすると以下の画面が出てきます。




(4)左側にある「特許4183742」をクリックすると、以下の画面が出てきます。




(5)適当なところ(例えば「詳細な説明」)をクリックして明細書の内容を見ることができる。「文献単位PDF表示」をクリックすれば実際の公報を見ることができます。

どうですか?明細書の内容を見ることができましたか?
このほかにも、以下の検索サイトで適当なキーワードを入れて、いろいろな特許を探してみるとよいでしょう。
特許電子図書館(http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl)
米国特許データーベース(http://patft.uspto.gov/netahtml/PTO/search-bool.html)


染谷先生が担当する「バイオ特許翻訳コース」は10月13日(土)から受講開始です!
デモレッスン:9月22日(土)13:00~14:30
お申し込みはこちら:https://secure.ilc-japan.com/tokyo/form/demo/