前回からスタートした連載「あなたならどう英訳しますか?」。
日本語特有の表現や英訳しづらい日本語を題材に、英語ネイティブ翻訳者が和文英訳のコツを紹介していきます!

第1回目の課題は「微力ながらお役に立てるよう頑張ります。」
皆さんどのように英訳されましたか?「微力ながら」という文章が日本の謙遜の文化を現していますね。
それでは訳例を見てみましょう!

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【訳例】
1. I will make every effort to contribute to (this project).
2. I will do my best to contribute to the success of (this project).
3. I look forward to making a good contribution to (this project). (意訳)


【解説】
1つめと2つめの訳文ですが、1番は少しフォーマルで、2番の方が少しカジュアルなニュアンスになります。
1、2番どちらも丁寧ですが、上司宛てなら1番目をお勧めます。
また、意味は変わらないですが、2番の文に「the success of」という表現を1番の訳文に入れてもいいでしょう。
実際に入れた訳文:「I will make every effort to contribute to the success of (this project).
「プロジェクトが成功するように」といったニュアンスです。

なお、3番の文の「意訳」というのは、「頑張ります」という直訳的な意味が特に必要ない状況で使われます。
「look forward to」「楽しみにしている」を使うことによって、良い人間関係が築かれ、チーム内の雰囲気が前向きになると考えられます。
「頑張ります」というニュアンスが必要な状況では、文1か2を勧めます。

【ダメな英訳例】
I do not have much skill, but I will make every effort...
I am not talented, but...
I have little ability, but...


この3つの文はいずれも不自然で、英語の発想では正直あり得ない文です。
「頑張ります」の英訳表現はやはり「make every effort」、「do my best」などが適切な英訳となります。

【今回の訳文のポイント】
日本語の「微力ながら」は、そのまま直訳してしまうと不自然になります。
これは日本語と英語の「発想の違い」からきています。
「直訳」という翻訳条件であっても、この表現の直訳は絶対に避けるべきです。

例えば、プレゼントを渡すとき、日本では「つまらないものですが、お召し上がりください」と言って渡すことがあります。
この「つまらないものですが」をそのまま直訳すると「This is boring, but」または「This is a boring present, but」という訳文になりますね。
けれど、この場合の「つまらないものですが」は謙遜表現であり、そのまま直訳してしまうとプレゼントを渡す相手に失礼な表現になってしまいます。
これも英語と日本語の発想の違いですね。本当に伝えたいことを考えながら自然な英訳を目指しましょう!

ちなみに「つまらないものですが、お召し上がりください」はどのように英訳したらいいと思いますか?
もちろんうまい英訳は存在しますが、続きは本コースで!
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第2回目はこのあと更新しますのでお楽しみに!