「あなたならどう英訳しますか?」。
日本語特有の表現や英訳しづらい日本語を題材に、英語ネイティブ翻訳者が和文英訳のコツを紹介していきます!

第2回目の課題は「無理を言って申し訳ないのですが、締め切りには間に合いそうですか?」

皆さんどのように英訳されましたか?それでは訳例を見てみましょう!

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訳例:
1. I am very sorry to press you on this matter, but do you think you will be able to meet the deadline?
2. I know that you are on a tight schedule, but do you think you will be able to meet the deadline?
3. Sorry, but I’d just like to check that everything’s OK for meeting the deadline.


1つ目の文の「I am very sorry to press you」のニュアンスは「圧力をかけて申し訳ない」と丁寧な表現になります。
もちろん上司に対しては使えませんが、同僚に対して使うと相手が忙しいことに「同情している」といった気持ちが伝わります。

同じく、2つ目の文は「I know that you are on a tight schedule」で始まります。
「あなたの非常に忙しいスケジュール/きつい日程は承知していますが」といったニュアンスです。
つまり「これ以上負担をかけたくないですが…」という気持ちが伝わり、相手の状況・立場に配慮していると言えます。

1つ目と2つ目の文は両方丁寧ですが、2つ目の文のほうが「さらに相手の気持ちを大切にしている」と言えると思います。
1と2両方とも「do you think you will be able to meet the deadline?」という文がありますが、
もちろんこれに対して「No」という答えは普通の状況ではありえません。
つまり、これは普通の意味合いで「質問」というより相手の作業を促すまたは進捗状況をさりげなく聞き出すという効果があります。
相手を不快な気持にさせないようにする丁寧な聞き方です。

なお、3つ目の文は砕けた言い方ですが、よく使われる表現です。ただし相手とは仲がいい関係が条件です。
短縮形の「I’d」「everything’s」が使われています。
「無理を言って」というニュアンスは弱いですが、「Sorry,」を入れることによって似たような意味が伝わると思います。

その他「進捗状況を確認する」丁寧な言い方は:

How are things going with the ... project? (進め具合はどうですか?)
How far have you got with ...? (どのぐらい進んでいますか?)
Could you please tell me how much progress you have made with ...? (進捗状況を教えてください。 かなり丁寧な言い方ですが、仲がいい相手だと少し上から目線というニュアンスに注意しましょう。)


「仕事を促す」表現としては:

Don’t forget we have to finish ... by~ (この文章も仲がいい相手が条件です!)
I hope you are making good progress with ... (少しだけ強めに行動を促しています)
I’m looking forward to seeing your work on ... (成果を楽しみにしているというニュアンスです)
Good luck with ... (簡単ですが、大抵効果的に作業を促します。)


なども使えます。

最後に、課題文のダメな英訳例は:
I am sorry to say the impossible, but (say the impossibleは英語として成り立っていません)
I am sorry to ask you to do the impossible (不可能なことをするという表現になります。スーパーマンのように相手がスーパーヒーローになってしまうので、おかしい表現ですね)
I am sorry to give you a task you cannot do (相手に「あなたができない仕事」と言っている意味合いになりますので、これもおかしいですね)

なお、「I apologize for asking you, but...」のような表現は同僚に対して丁寧すぎます。
相手が上司なら可能ですが、同僚に対しては普通使いませんので、この表現も気をつけてくださいね!
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