「あなたならどう英訳しますか?」。
日本語特有の表現や英訳しづらい日本語を題材に、英語ネイティブ翻訳者が和文英訳のコツを紹介していきます!

第3回目の課題は「やむを得ない事情によりご辞退申し上げます。」

皆さんどのように英訳されましたか?それでは訳例を見てみましょう!

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訳例:
1. Due to unavoidable circumstances, I regret that I am unable to...
2. Due to unavoidable / unforeseen circumstances, I have no choice but to withdraw from...
3. Because of circumstances beyond my control, I have to pull out of...


1つ目・2つ目の文の「Due to unavoidable circumstances」は日本語の「やむを得ない事情により」を意味します。
直訳すると「避けられない状況のため」となりますが、これは定番の「決まり文句」となっていますので、丁寧な断り方としてよく使われます。
なお、日本語でも英語でも「事情」は普通詳しく書く必要はないですね(相手と中がいい関係の場合以外)

「not able to」と「unable to」の違いですが、「unable to」のほうが丁寧な表現になります。
「not able to」は、スピーキングの場面で「物理的にできない」という意味を表す言葉です。
例えば「I am not able to complete this report today.」=「物理的に今日中にこのレポートを完成させることができない」というような使い方です。
ライティングでは、「unable to」のほうが丁寧です。
「His desk is not tidy.」→「His desk is untidy.」にしたほうが「賢い英語」に聞こえます。

2つ目の文の「unforeseen」は「予測できなかった・予測不可能な」という意味で、
結果的に同じ意味になりますが、もう少し「自分の責任ではない」といったニュアンスが強いと思います。

文の後半として、1つ目の「I regret that I am unable to (attend the research meeting)」は一般的かつ丁寧な表現です。
「自分が参加できないことは残念です」、「参加したかった」というニュアンスは十分に伝わるはずです。

2つ目の「I have no choice but to withdraw from (the research meeting)」という表現は丁寧ですが、1つ目の文ほど丁寧ではない気がします。
「辞退する以外に選択肢がない」というニュアンスですね。
自分より上の立場の人に書く場合は1を勧めますが、2つ目の文も普通に丁寧な表現になります。

3つ目の文は砕けた言い方の例文です。
相手とは仲がいい、年齢または地位があまり相違していない場合は使えますが、
相手と面識がない場合は使わないほうがよいでしょう。
「Because of」は「Due to」より砕けた表現ですし、
そして最後の「pull out of」はかなりカジュアルな表現で、「手を引く・白紙に戻す」というようなニュアンスになります。
仲のいい相手であればまったく問題ないと思いますが、
それ以外の場合はこの「pull out of」は失礼に当たるので、使い方に気をつけてください。

なども使えます。

ダメな英訳例:
Sorry, but I can’t attend the meeting.
あまりにも軽いですね、失礼な言い方です。

Unfortunately, I am not able to attend the meeting.
「Unfortunately,」はまだ少し軽いですね、でも「Sorry」よりまだ少し丁寧です。
「not able to」より「unable to」のほうが丁寧ですね。

Because of a difficult situation, I have to reject my participation in the meeting.
まず、「difficult situation」の意味が不明確で、この状況では英語では使えないですね。
また、「reject」はよく辞書に載っていますが、「reject a proposal」=「提案を受け入れない」という意味合いです。
今回の課題文で使うと「拒否する」という極めて失礼な英語になりますので絶対使わないように!

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