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プロの翻訳者になるために避けて通れないのが、翻訳会社の採用試験であるトライアル合格。 トライアルは、翻訳会社によって難易度や内容が異なりますが、みなさんどのように学習してきたのでしょうか。
そんな疑問にお答えすべく、ILCの翻訳コースを修了後トライアルに挑戦し合格された方々へ、合格にあたっての勉強方法などをお聞きしました!
第11回目は、メディカル翻訳初級・上級コース、バイオ英語コース、治験翻訳コースを修了された方からです。

*メディカル翻訳初級・上級コース、バイオ英語コース、治験翻訳コース修了生 Mさん(女性)*

翻訳会社のトライアル受験に備えてどんな勉強をされましたか?

過去にILCで受講した講座の翻訳課題で、添削を受けた箇所を見直し、どのように訳すべきだったのかを再確認しました。文脈に応じて訳し分ける必要がある単語や表現(例えばsignificantという語は、一般的には「著しい、意義のある」などと訳せることが多いが、統計用語としては「有意な」と訳す、など)は、特に難しく感じていたため、重点的に復習しました。

知識面では、翻訳講座とバイオ英語講座で頂いた資料や教科書、授業で取ったノートを見直し、要点を復習しました。
また、学習中に独自に作成した用語集や表現集などを見直し、和訳で必要とされる適切な表現や定型文を頭に入れるようにしました。

前職は何をされていましたか?

前職は、ゲーム会社2社で約10年間にわたって、主にゲームソフトウェア・ハードウェア関連の文書(ゲームソフトウェアの解説資料、バグレポート、プレスリリース、ハードウェア取扱説明書など)の英文和訳・和文英訳に携わりました。
翻訳に際しては、正確に訳すために文書内で取り上げられているゲームソフトやハードウェアの特徴を学ぶ必要があったため、現在のメディカル翻訳でも、翻訳作業に取りかかる前に、記載内容について学習する習慣が自然と身に付きました。また、取扱説明書の作成では、文章内の用語や表現が統一されているかどうか、翻訳後に校正を綿密に行う姿勢が身に付きました。

苦労した点、大変だと思う点を教えてください。

メディカル翻訳では、原文の内容を理解した上で、専門用語や医薬分野独自の表現を適切に用いて日本語として自然に訳さなければならないため、さまざまな医薬関連の和文・英文に触れて、専門的な表現に馴れるまで大変でした。
知識面では、理数系の専門知識に触れるのが高校以来だったため、化学式や統計用語などを目にするたびに、意味することが分からず苦労しました。これらについては現在も勉強中です。

また、前提となる知識がないと、正しく訳出できなかったり、原文の誤りに気づかなかったりする場合があるため、原文の主題についての情報を、インターネット検索を利用したり、専門書を調べたりして、時間の許す限り総合的に集めるようにしています。たとえば、ある疾患についての文章であれば、その疾患の原因・症状・症状の評価法・治療方法・治療薬・予後などについても調べます。そのため、馴染みのない分野や疾患に関する文章では、下調べに時間がかかり、実際の翻訳作業を開始するまで非常に時間がかかることもあります。

これから翻訳の勉強を始めようという方にメッセージをお願いします。

翻訳については、原文の読解力とその翻訳分野に適切な日本語での表現力の両方が必要なため、まずは翻訳する分野の専門用語や独自表現に馴れる必要があります。翻訳の学習開始後、初めてその分野の原文を目にしたときには、難解に感じ、内容を完全には理解できなくても、関連する内容に何度も接するうちに次第に理解できるようになると思います。インターネットなどでは原文と訳文の両方が入手できる場合もあるので、両者を見比べながら学習することも可能です。

翻訳に必要な知識は授業や書籍からだけではなく、新聞やテレビ、雑誌、インターネット(学会や専門誌のウェブサイト、公開論文など)などからも吸収できます。ただし、特にインターネット上の情報などは鵜呑みにせず、そのウェブサイトが信頼できるかどうかを見極める必要があるでしょう。

Mさんご協力いただきましてありがとうございました!

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