What's new  ILC国際語学センター東京

What's new

「あなたならどう英訳しますか?」第4回目:「次回はぜひとも弊社のこだわりの新商品を紹介させていただきます。」の訳例

「あなたならどう英訳しますか?」。
日本語特有の表現や英訳しづらい日本語を題材に、英語ネイティブ翻訳者が和文英訳のコツを紹介していきます!

第4回目の課題は「次回はぜひとも弊社のこだわりの新商品を紹介させていただきます。」

皆さんどのように英訳されましたか?それでは訳例を見てみましょう!

---------------------------------------------------------------------

訳例:
1. I would like to describe one of our most distinctive new products at our next meeting.
2. I would very much like to present one of the products that we are most proud of at our next meeting.
3. I would like to offer a brief description of our unique new product at our next meeting.
4. I look forward to talking about one of our unique new products at our next meeting.


一つ大事なポイントは「introduce」「紹介する」という言葉は全ての訳例文に登場していません。
不可能ではないですが、「introduce」はどうしても「人を紹介する」「新しい考えやアイディアを紹介する」という使い方が主流です。
今回の課題文に対する英訳で「introduce」を使うことはどうしても少し不自然に感じますが、意味は十分に伝わります。

課題文3つのポイント:
1.「ぜひとも」を独立した言葉にすべきか、それか他のところで強調する言葉を入れるか。

「ぜひとも」を定訳のように「独立した言葉」として英訳するのは難しいですね。
それより「ぜひ~したい」という風に考えて、「I would like to」または「I would very much like to」を使うことを勧めます。
「I would very much like to」のほうが強い「意気込み」を表現しますが、「I would like to」だけでも十分に丁寧な表現です。

2.「こだわりの」という日本語独特の表現をどう英訳するのか。(直訳できるかそれに近いニュアンスの英語はあるのか)
「こだわりの」に相当するぴったりの英語もありません。
そうなりますと「こだわりの」に近い意味合いを持つ言葉を探す必要があります。
訳例では「distinctive」「特徴的」、「unique」「独特の」を使用していますが、
2つめの文では「that we are most proud of」「我々が最も誇りに思う」を使っています。
少し長い表現になっていますが、意外と日本語の「こだわりの」に近い意味を持っています。
英語の発想では「自社の商品を誇りに思う」という考え方はごく普通です。
(日本語では「プライド」が少し否定的なニュアンスを含む場合が多いですが、英語の「proud of~」はほとんどの場合肯定的な意味合いを持っています)

3. 全体を通して、相手が会社役員ということで、丁寧な英語が求められます。
特に最後の「紹介させていただきます」のところに注意しましょう。(「丁寧すぎる」にならないように注意する必要があります)


これは少し難しいところですね。日本語の「~させていただきます」は簡単に英訳できません。
「Please allow me to~」という表現はもちろんありますが、「許可を得たい」といったニュアンスがあるため相手は多分違和感を覚えると思います。
そして、実は「Please...」といった依頼の表現が実はあまり丁寧ではありません。
「~をしてください」のようなニュアンスだけで、丁寧とは言えない表現です。
一つの手は「With your permission,...」を使うことは可能ですが、丁寧すぎるという印象を与える確率が高いと思います。
従って、「I would very much like to」に留まっていいと思います。

訳例文1~3は全部丁寧な英語ですね。
例文4は少し砕けた言い方ですので、よく知っている中がいい人以外は使わないほうがいいと言えます。
また、例文4に関して「させていただきます」というニュアンスは弱いですね。

ダメな英訳例:
1. I’m going to describe our particular new product at our next meeting.
まず、「I’m going to」はこの場合上から目線の言葉になります、つまり相手の立場に配慮していない印象を与えます。
「こだわりに」として「particular」という英語が検索サイトによく出ますが、「特定の(個別の)」という意味で、
今回の「こだわりの」というニュアンスは含まれていないと思います。

2. I plan to discuss our special new product at our next meeting.
「I plan to」は上記の「I’m going to」と同じく、あまり丁寧と言えません。
自分の主張だけが表現され、相手の立場に配慮していない。

「こだわりの」を「special」と英訳するのは絶対ダメとは言えません。
場合や状況によって「意訳」として採用することは可能ですね。
しかし厳密な英訳を考えると「special」「特別な」の意味は「こだわりの」と少し違います。

3. I want to describe our fantastic new product at the next meeting.
「I want to」は正直あり得ないですね。一般的に「I want to」が子供が使うような英語です。
直接的かつ強い言葉ですね。大人なら「I would like to」に切り替えましょう。
また、「fantastic」は「凄い・実に素晴らしい」というニュアンスで、かなり砕けた言葉です。
取り引き相手の役員には使えません!(宣伝用のパンフなどでの使用は可能です)

---------------------------------------------------------------------

「あなたならどう英訳しますか?」第4回目:「次回はぜひとも弊社のこだわりの新商品を紹介させていただきます。」

英語ネイティブ翻訳者の先生が解説する「あなたならどう英訳しますか?」。
日本語特有の表現や英訳しづらい日本語を題材に、和文英訳のコツを紹介していきます!

第4回目の課題です。

【ビジネスシチュエーション】

presentation_woman
あなたは先日取引相手の会社で自社の商品のプレゼンテーションを行い、感触がわりと良かったという印象を受けました。
そこで、あなたは別の会議を設定し、新商品を売り込みたいと考えており、次の文を外国人役員に送りたいと思います。

「次回はぜひとも弊社のこだわりの新商品を紹介させていただきます。」

ポイントは3つ:
1.「ぜひとも」を独立した言葉にすべきか、それか他のところで強調する言葉を入れるか。
2.「こだわりの」という日本語独特の表現をどう英訳するのか。(直訳できるかそれに近いニュアンスの英語はあるのか)
3.全体を通して、相手が会社役員ということで、丁寧な英語が求められます。
特に最後の「紹介させていただきます」のところに注意しましょう。(「丁寧すぎる」にならないように注意する必要があります)

正解とコメントは年明け1/5(木) にILCブログに掲載予定です。
あなたの英訳を楽しみにしています!

主任教師John先生によるミニレッスン:【第4回目】EmpathyとSympathyの違い

皆さんこんにちは。
ILC国際語学センターです。

John先生のミニレッスン、第4回目はEmpathyとSympathyの違いについてです。

早速John先生の解説を見てみましょう。

Empathy or Sympathy?


In the GLLT Presentation course, we often say you need to empathize with your audience when giving a presentation; "step into their shoes"; be them! Then, use that understanding to plan your presentation. However, you can also sympathize with their work situation, especially if it is a difficult one; "understand where they are coming from". This idea of sameness, or similarity is common to both words, empathy and sympathy. How can we differentiate between these words? There are similar elements in both words, and, yes, it can be confusing.

Looking at the etymology might help. Both words are formed from “pathos” the Greek word for emotion. The word sympathy is from syn, "together" + pathos, "feeling", a “fellow feeling”. Others along with yourself are involved in experiencing a community of feelings, typically, a feeling of support for another person, or the feeling that you care about and are sorry about someone else's trouble, grief, misfortune, etc. You feel the same characteristics of the group. You don’t need to feel the actual emotion, but you can imagine what that feeling would be like.
On the other hand, empathy is from en, "in" + pathos, "feeling"; it’s an “in-feeling”, a passion state of emotion, a projection of the quality or emotion viewed in the mind's eye. Empathy IS feeling what others feel, not just understanding what they feel or just giving support. It is feeling the same emotion as the other.
Another way to look at this difference in meanings comes from art appreciation. I am sure we have all experienced listening to our favorite song or have looked at a great artwork and have been moved emotionally. The work of art resonates within us; it somehow defines who we are. We commune with it; we and the art we attend to are one. This is empathy, the viewer's ability to project his personality and feelings into the viewed object.

In other words, getting back to the GLLT presentation situation, when we empathize with our audience, we understand them in a much deeper way than just recognizing their difficult work situations (sympathy). Because empathy is a union of feelings, the presenter adjusts his or her delivery to get the audience to project that feeling back onto the delivered message. The speaker’s passion connects with the audience; the audience feels the passion and projects similar feelings back onto the speaker and the message. This connection is the empathy attained in successful presentations.
If this is still confusing to you, one last way to make this distinction clearer will be as simple as surfing for web images for these words on the Internet. Search “empathy” and you get a wide variety of philosophical sayings, motivational images, and leadership qualities; search “sympathy” and all you get are sympathy cards!

Connecting emotionally is empathy, directly being, or emotional equality; connecting rationally is sympathy, mirroring or duplicating a similarity. From the art example above, empathy is the gift of the appreciation of the experienced passion of beauty; sympathy is the card you send to the one who lacks empathy.

次回は1月中旬に更新予定です。

※John先生が開発したグローバルリーダー向け英語プログラムは、様々なビジネスシチュエーションに特化した英語スキルに焦点をあて、論理性と説得力のある英語力を養成します。
詳細はこちらからお問い合わせください。


bana_gllt2

担当教師

sennsei

John Mukts (ILC企業研修主任)

国際的な英語教師資格TESOL取得。数々の企業にてビジネスパーソンやグローバルリーダー向け英語研修を20年以上担当。プレゼンテーション・ミーティングなどのビジネスに焦点をおいたILCオリジナルビジネス英語プログラムGLLT(Global Leadership Language Training)の開発にも従事。ビジネスに直結した指導と、ポイントを明確かつ丁寧に教えるティーチングスタイルは、初級者から上級者まで、幅広い受講層から高い評価を得ている。

「あなたならどう英訳しますか?」第3回目:「やむを得ない事情によりご辞退申し上げます。」の訳例

「あなたならどう英訳しますか?」。
日本語特有の表現や英訳しづらい日本語を題材に、英語ネイティブ翻訳者が和文英訳のコツを紹介していきます!

第3回目の課題は「やむを得ない事情によりご辞退申し上げます。」

皆さんどのように英訳されましたか?それでは訳例を見てみましょう!

---------------------------------------------------------------------

訳例:
1. Due to unavoidable circumstances, I regret that I am unable to...
2. Due to unavoidable / unforeseen circumstances, I have no choice but to withdraw from...
3. Because of circumstances beyond my control, I have to pull out of...


1つ目・2つ目の文の「Due to unavoidable circumstances」は日本語の「やむを得ない事情により」を意味します。
直訳すると「避けられない状況のため」となりますが、これは定番の「決まり文句」となっていますので、丁寧な断り方としてよく使われます。
なお、日本語でも英語でも「事情」は普通詳しく書く必要はないですね(相手と中がいい関係の場合以外)

「not able to」と「unable to」の違いですが、「unable to」のほうが丁寧な表現になります。
「not able to」は、スピーキングの場面で「物理的にできない」という意味を表す言葉です。
例えば「I am not able to complete this report today.」=「物理的に今日中にこのレポートを完成させることができない」というような使い方です。
ライティングでは、「unable to」のほうが丁寧です。
「His desk is not tidy.」→「His desk is untidy.」にしたほうが「賢い英語」に聞こえます。

2つ目の文の「unforeseen」は「予測できなかった・予測不可能な」という意味で、
結果的に同じ意味になりますが、もう少し「自分の責任ではない」といったニュアンスが強いと思います。

文の後半として、1つ目の「I regret that I am unable to (attend the research meeting)」は一般的かつ丁寧な表現です。
「自分が参加できないことは残念です」、「参加したかった」というニュアンスは十分に伝わるはずです。

2つ目の「I have no choice but to withdraw from (the research meeting)」という表現は丁寧ですが、1つ目の文ほど丁寧ではない気がします。
「辞退する以外に選択肢がない」というニュアンスですね。
自分より上の立場の人に書く場合は1を勧めますが、2つ目の文も普通に丁寧な表現になります。

3つ目の文は砕けた言い方の例文です。
相手とは仲がいい、年齢または地位があまり相違していない場合は使えますが、
相手と面識がない場合は使わないほうがよいでしょう。
「Because of」は「Due to」より砕けた表現ですし、
そして最後の「pull out of」はかなりカジュアルな表現で、「手を引く・白紙に戻す」というようなニュアンスになります。
仲のいい相手であればまったく問題ないと思いますが、
それ以外の場合はこの「pull out of」は失礼に当たるので、使い方に気をつけてください。

なども使えます。

ダメな英訳例:
Sorry, but I can’t attend the meeting.
あまりにも軽いですね、失礼な言い方です。

Unfortunately, I am not able to attend the meeting.
「Unfortunately,」はまだ少し軽いですね、でも「Sorry」よりまだ少し丁寧です。
「not able to」より「unable to」のほうが丁寧ですね。

Because of a difficult situation, I have to reject my participation in the meeting.
まず、「difficult situation」の意味が不明確で、この状況では英語では使えないですね。
また、「reject」はよく辞書に載っていますが、「reject a proposal」=「提案を受け入れない」という意味合いです。
今回の課題文で使うと「拒否する」という極めて失礼な英語になりますので絶対使わないように!

---------------------------------------------------------------------

「あなたならどう英訳しますか?」第3回目:「やむを得ない事情によりご辞退申し上げます。」

英語ネイティブ翻訳者の先生が解説する「あなたならどう英訳しますか?」。
日本語特有の表現や英訳しづらい日本語を題材に、和文英訳のコツを紹介していきます!

第3回目の課題です。

【ビジネスシチュエーション】

isogashii_woman
あなたは取引相手の会社で開催される研究会議に参加すると約束していましたが、
急遽同じ日に自分の会社の上司にプレゼンテーションを行うことが命じられました。
相手会社の担当者に断りの連絡をいれることになりましたが、本当の理由は言いたくないという状況です。
そこで、次のように伝えようと思っています。

「やむを得ない事情によりご辞退申し上げます。」

ポイントは2つ:
1.「やむを得ない事情」の処理の方法です。
失礼にならない程度の曖昧さで表現することが必要ですね。

2.「ご辞退申し上げます」
英語でどのように丁寧に断ればいいのか?とお困りの方も多いのではないでしょうか。
注意点としては、日本語はかなり丁寧な敬語になっていますが、果たして英語ではそこまで丁寧な表現を使う必要があるかどうかです。
引き続き取引社とのいい関係を保ちたいが、自分の業務をどうしても優先させなければならないという難しい状況ですね。

正解とコメントは12/23(金) にILCブログに掲載予定です。
あなたの英訳を楽しみにしています!

---------------------------------------------------------------------

「あなたならどう英訳しますか?」第2回目:「無理を言って申し訳ないのですが、締め切りには間に合いそうですか?」の訳例

「あなたならどう英訳しますか?」。
日本語特有の表現や英訳しづらい日本語を題材に、英語ネイティブ翻訳者が和文英訳のコツを紹介していきます!

第2回目の課題は「無理を言って申し訳ないのですが、締め切りには間に合いそうですか?」

皆さんどのように英訳されましたか?それでは訳例を見てみましょう!

---------------------------------------------------------------------

訳例:
1. I am very sorry to press you on this matter, but do you think you will be able to meet the deadline?
2. I know that you are on a tight schedule, but do you think you will be able to meet the deadline?
3. Sorry, but I’d just like to check that everything’s OK for meeting the deadline.


1つ目の文の「I am very sorry to press you」のニュアンスは「圧力をかけて申し訳ない」と丁寧な表現になります。
もちろん上司に対しては使えませんが、同僚に対して使うと相手が忙しいことに「同情している」といった気持ちが伝わります。

同じく、2つ目の文は「I know that you are on a tight schedule」で始まります。
「あなたの非常に忙しいスケジュール/きつい日程は承知していますが」といったニュアンスです。
つまり「これ以上負担をかけたくないですが…」という気持ちが伝わり、相手の状況・立場に配慮していると言えます。

1つ目と2つ目の文は両方丁寧ですが、2つ目の文のほうが「さらに相手の気持ちを大切にしている」と言えると思います。
1と2両方とも「do you think you will be able to meet the deadline?」という文がありますが、
もちろんこれに対して「No」という答えは普通の状況ではありえません。
つまり、これは普通の意味合いで「質問」というより相手の作業を促すまたは進捗状況をさりげなく聞き出すという効果があります。
相手を不快な気持にさせないようにする丁寧な聞き方です。

なお、3つ目の文は砕けた言い方ですが、よく使われる表現です。ただし相手とは仲がいい関係が条件です。
短縮形の「I’d」「everything’s」が使われています。
「無理を言って」というニュアンスは弱いですが、「Sorry,」を入れることによって似たような意味が伝わると思います。

その他「進捗状況を確認する」丁寧な言い方は:

How are things going with the ... project? (進め具合はどうですか?)
How far have you got with ...? (どのぐらい進んでいますか?)
Could you please tell me how much progress you have made with ...? (進捗状況を教えてください。 かなり丁寧な言い方ですが、仲がいい相手だと少し上から目線というニュアンスに注意しましょう。)


「仕事を促す」表現としては:

Don’t forget we have to finish ... by~ (この文章も仲がいい相手が条件です!)
I hope you are making good progress with ... (少しだけ強めに行動を促しています)
I’m looking forward to seeing your work on ... (成果を楽しみにしているというニュアンスです)
Good luck with ... (簡単ですが、大抵効果的に作業を促します。)


なども使えます。

最後に、課題文のダメな英訳例は:
I am sorry to say the impossible, but (say the impossibleは英語として成り立っていません)
I am sorry to ask you to do the impossible (不可能なことをするという表現になります。スーパーマンのように相手がスーパーヒーローになってしまうので、おかしい表現ですね)
I am sorry to give you a task you cannot do (相手に「あなたができない仕事」と言っている意味合いになりますので、これもおかしいですね)

なお、「I apologize for asking you, but...」のような表現は同僚に対して丁寧すぎます。
相手が上司なら可能ですが、同僚に対しては普通使いませんので、この表現も気をつけてくださいね!
---------------------------------------------------------------------

「あなたならどう英訳しますか?」第2回目:「無理を言って申し訳ないのですが、締め切りには間に合いますか?」

前回からスタートした連載「あなたならどう英訳しますか?」。
日本語特有の表現や英訳しづらい日本語を題材に、英語ネイティブ翻訳者が和文英訳のコツを紹介していきます!

皆さん第1回目はいかがでしたか?
早速第2回目の課題です!

【ビジネスシチュエーション】
busy_woman
あなたは外国人同僚に、社内ミーティングのための資料作成を依頼しました。
しかし同僚は他の仕事も抱えていて、なかなか作業は進んでいない様子。
そこで丁寧に次の質問をしたいと考えています。

「無理を言って申し訳ないのですが、締め切りには間に合いそうですか?」

業務の進捗の確認と、締め切りまでに資料を作成してもらいたいというやんわりとした催促のニュアンスが含まれています。
忙しい相手に嫌な思いをさせず、かつ返信・行動を促す表現です。
皆さんはどのように英訳されますか?

訳例とアントニー先生の解説は12/15(木)にILCブログに掲載します。
ILCのFacebookコメント欄に皆さんの訳文を書いてもらえれば、次回更新時に先生から皆さんの訳文についてのコメントとフィードバックを紹介する場合があります。
あなたの英訳を楽しみにしています!

「あなたならどう英訳しますか?」第1回目:「微力ながらお役に立てるよう頑張ります。」の訳例

前回からスタートした連載「あなたならどう英訳しますか?」。
日本語特有の表現や英訳しづらい日本語を題材に、英語ネイティブ翻訳者が和文英訳のコツを紹介していきます!

第1回目の課題は「微力ながらお役に立てるよう頑張ります。」
皆さんどのように英訳されましたか?「微力ながら」という文章が日本の謙遜の文化を現していますね。
それでは訳例を見てみましょう!

---------------------------------------------------------------------

【訳例】
1. I will make every effort to contribute to (this project).
2. I will do my best to contribute to the success of (this project).
3. I look forward to making a good contribution to (this project). (意訳)


【解説】
1つめと2つめの訳文ですが、1番は少しフォーマルで、2番の方が少しカジュアルなニュアンスになります。
1、2番どちらも丁寧ですが、上司宛てなら1番目をお勧めます。
また、意味は変わらないですが、2番の文に「the success of」という表現を1番の訳文に入れてもいいでしょう。
実際に入れた訳文:「I will make every effort to contribute to the success of (this project).
「プロジェクトが成功するように」といったニュアンスです。

なお、3番の文の「意訳」というのは、「頑張ります」という直訳的な意味が特に必要ない状況で使われます。
「look forward to」「楽しみにしている」を使うことによって、良い人間関係が築かれ、チーム内の雰囲気が前向きになると考えられます。
「頑張ります」というニュアンスが必要な状況では、文1か2を勧めます。

【ダメな英訳例】
I do not have much skill, but I will make every effort...
I am not talented, but...
I have little ability, but...


この3つの文はいずれも不自然で、英語の発想では正直あり得ない文です。
「頑張ります」の英訳表現はやはり「make every effort」、「do my best」などが適切な英訳となります。

【今回の訳文のポイント】
日本語の「微力ながら」は、そのまま直訳してしまうと不自然になります。
これは日本語と英語の「発想の違い」からきています。
「直訳」という翻訳条件であっても、この表現の直訳は絶対に避けるべきです。

例えば、プレゼントを渡すとき、日本では「つまらないものですが、お召し上がりください」と言って渡すことがあります。
この「つまらないものですが」をそのまま直訳すると「This is boring, but」または「This is a boring present, but」という訳文になりますね。
けれど、この場合の「つまらないものですが」は謙遜表現であり、そのまま直訳してしまうとプレゼントを渡す相手に失礼な表現になってしまいます。
これも英語と日本語の発想の違いですね。本当に伝えたいことを考えながら自然な英訳を目指しましょう!

ちなみに「つまらないものですが、お召し上がりください」はどのように英訳したらいいと思いますか?
もちろんうまい英訳は存在しますが、続きは本コースで!
---------------------------------------------------------------------

第2回目はこのあと更新しますのでお楽しみに!

主任教師John先生によるミニレッスン:【第3回目】英文Eメールで日本人がよく間違えるポイントとは?

皆さんこんにちは。
ILC国際語学センターです。

John先生のミニレッスン、第3回目は英文Eメールで日本人がよく間違えるポイントについてです。

英語でのEメールは日常茶飯事となりつつありますが、
日本人の方がよく間違えるポイントがいくつか存在します。
今回は、その中の1つについてJohn先生が解説されています。

青い箇所が実際に日本人の方がよく間違えるポイントです。実際に読んでみましょう。

How do I start my email?


Email was born from a union of the traditional paper-based forms of letter writing, for more formal external communication, and memos, for internal communication.
Taking structural elements from both, email writing led the transition of business communication into the digital age.
The salutation is one of the elements taken from letters.

A common trouble spot for Japanese students is when email needs a salutation, especially for more formal situations.
Not personalizing your message to the recipient who you might not know very well makes your e-mail seem cold.
Should we begin with "Dear Mr. Thompson", "Dear John", "Hello John", "Hi John", or just "John"?
Well, that depends on the relationship you have with your recipient.
The examples given above range from formal, first-time contacts, to informal, for casual relationships.

When writing email messages, one common problem for Japanese students is the use of "Mr." or "Ms." with a person`s first name; "Dear Mr. Kenji" as a salutation is incorrect for a man named Kenji Suzuki. "Mr." for a man, or "Ms." for a woman, is used as a title before the last name, surname, of a man or a woman, for example, "Mr. Suzuki" or "Ms. Smith". Other uses include being used as a title when speaking to a man or a woman who has an honored position or office: "Mr. President" or more formally "Madam Chairman" for a woman.

When Japanese speakers refer to an English-speaking foreigner in an informal and friendly way, they often say, "John san" or "Tim san", using the first name plus "san".
Unfortunately, this friendly use of the title "san" after the person`s first name in speaking does not translate well into English writing.
This may be a cause of this common error by Japanese students, in writing English email messages, of using "Mr." or "Ms." plus first name.

To reiterate, in English writing, the use of "Mr." with a man`s first name and the use of "Ms." with a woman`s first name is incorrect and should not be used in formal business communication. "Mr." or "Ms." is used as a title before the last name, surname, of a man or a woman respectively.


次回は12月下旬に更新予定です。

※John先生が開発したグローバルリーダー向け英語プログラムは、様々なビジネスシチュエーションに特化した英語スキルに焦点をあて、論理性と説得力のある英語力を養成します。
詳細はこちらからお問い合わせください。


bana_gllt2

担当教師

sennsei

John Mukts (ILC企業研修主任)

国際的な英語教師資格TESOL取得。数々の企業にてビジネスパーソンやグローバルリーダー向け英語研修を20年以上担当。プレゼンテーション・ミーティングなどのビジネスに焦点をおいたILCオリジナルビジネス英語プログラムGLLT(Global Leadership Language Training)の開発にも従事。ビジネスに直結した指導と、ポイントを明確かつ丁寧に教えるティーチングスタイルは、初級者から上級者まで、幅広い受講層から高い評価を得ている。

★新連載★「あなたならどう英訳しますか?」第1回目:「微力ながらお役に立てるよう頑張ります。」

多くのビジネスパーソンが日常的に悩みもがき苦しんでいる和文英訳。
英文への翻訳に苦労する理由の1つに、英語にはない日本語特有の表現があります。
このブログを読まれている方も、「どのように英訳をしたらいいか分からない」と頭を悩ませた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

そこで今回から、日本語特有の表現や英訳しづらい日本語を題材に、英語ネイティブ翻訳者が和文英訳のコツを紹介していきます!

担当するのは英国出身のアントニー先生。ケンブリッジ大学大学院で言語学を修了されています。
日本語1級はもちろん、フランス語、ドイツ語、イタリア語にも堪能なマルチリンガルです。和文英訳者としては20年以上の経験を持ち、官公庁や元官房長官のスピーチ、国務大臣の挨拶の和文英訳経験などもお持ちの先生です。

第1回目は、ビジネスメールで使われる表現です。

【ビジネスシチュエーション】
akusyu_man_gaikokujin
あなたは社内のプロジェクトチームのメンバーに抜擢されました。チームリーダーは別の門の外国人上司が担当します。
上司に簡単な挨拶のEメールを書くことにしましたが、文末に次の一文を入れたいと考えています。

「微力ながらお役に立てるよう頑張ります。」

日本人の「謙虚さ」が出ている一文ですが、皆さんはどのように英訳されますか?

訳例とアンソニー先生の解説は12/8(木)にILCブログに掲載します。
ILCのFacebookコメント欄に皆さんの訳文を書いてもらえれば、次回更新時に先生から皆さんの訳文についてのコメントとフィードバックを紹介する場合があります。

ぜひ皆様チャレンジしてみてください!

需要増す!医療機器翻訳の現状とは?

医療機器業界の現状
総務省と国立社会保障・人口問題研究所の調査・推計によると、日本の高齢化率(65歳以上の高齢者人口の比率)は、2015年に26.7%で4人に1人が高齢者だったのに対し、2060年には39.9%で2.5人に1人が高齢者になると推計されています。
このように日本をはじめとする先進国の高齢化についてはよく知られていますが、実は開発途上地域でもすでに高齢化が進んでいます。開発途上地域の高齢化率は、2015年は6.4%だったのが、2060年には16.8%になると見込まれています。
高齢者が健康な生活を送れる社会の実現は、今や先進国だけでなく、世界全体にとっての課題となっているのです。

iryokiki
出典:内閣府ホームページ
(http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/html/zenbun/s1_1_5.html)

これからの日本を支える柱「医療機器産業」
世界中で高齢化が進行する中、今後の日本を支える柱の1つになると期待されているのが、医療機器産業です。高齢社会で医療サービスを受ける人が増えれば、当然、医療機器の需要も増加するからです。
日本政府は、2013年『日本再興戦略』の策定、2014年『健康・医療戦略推進法』の策定、2015年『国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)』の設立など、医療機器の開発や販売を推進する動きを次々と見せています。
民間では、岡山県の『医療機器開発プロモートおかやま』や、福島県の『ふくしま医療機器産業推進機構』など、医療機器産業の支援を積極的に行う団体が増えています。医療機器産業に関する動きが、官民ともにどんどん活発になってきているのです。

不足している医療機器翻訳者
その医療機器の開発や販売に欠かせないのが、質の高い翻訳です。
海外で製造されたペースメーカー、カテーテル、ステント、植込み型除細動器(ICD)などの医療機器を日本で製造販売するには、海外で実施された安全性試験報告書、マニュアル、添付資料、製造販売承認申請書など、大量の文書を翻訳しなければなりません。また、今後は日本でも医療機器の開発が進み、輸出が増大すると考えられていますが、もちろんその場合も翻訳が必要です。
例えば、承認申請書の翻訳が不正確だったり分かりにくかったりすると、審査担当者が混乱し、審査に余計な時間がかかってしまいます。
医療機器が速やかに臨床の現場で使用できるようになるには、正確で、読みやすく、文書間の整合性がとれた翻訳が必要なのです。
そんな質の高い翻訳をするためには、英語力の向上だけでなく、医療機器や安全性試験の仕組みを理解することが不可欠です。
医療機器翻訳に対応できる翻訳者はまだ少ないため、医療機器や安全性試験の翻訳をしっかりと自分のモノにすることができれば、仕事を受注するうえで有効なアピールポイントになるでしょう。

今回ILC国際語学センター東京校では、医療機器翻訳の特別講座を開催します。
医療機器翻訳のなかでも特に需要が高い安全性試験報告、カテーテル、ペースメーカーをテーマとして扱いながら、医療機器翻訳のポイントを解説します。
講師はメディカル翻訳に特化した株式会社メディカル・トランスレーション・サービスの穴見翼氏。
さらに、今回講座を修了した方は同社の特別トライアルを受験できます。
医療機器翻訳を得意ジャンルにしたい方、メディカル翻訳の幅を広げたい方は、ふるってご参加ください!


医療機器翻訳講座の詳細はこちら>>

medicaldevice

主任教師John先生によるミニレッスン:【第2回目】ドナルド・トランプ氏の英語表現について

皆さんこんにちは。
ILC国際語学センターです。

先月からスタートしたJohn先生のミニレッスン。
第2回目はアメリカ大統領選についてです。

11/8に行われた開票でトランプ氏の当選が確実という結果は、全世界に大きな衝撃を与えました。
時に暴言ともとれるような過激な発言が注目を集めていたトランプ氏ですが、
John先生も今回彼が選挙で勝利した理由は英語表現に理由があると考えているそうです。

それはいったいどんな理由なのでしょうか。
青い英単語がポイントとなっている箇所です。実際に読んでみましょう。

------------------------------------------------------------------
Negative Language as Strategy
Disasters are the result of many factors, not just one. The recent presidential election in the United States was a good example of this for the Democratic Party led by Hillary Clinton. On the other side, the Republican Party led by Donald Trump, leapt to a surprising victory mostly because of the strategy by Trump to use negative language called vitriol, harsh and angry words, to its full impact, to his benefit, and to Clinton’s demise.
Trump used vitriol against his opponents to the shock and dismay of not only many Americans but to most people of the world who were following this, fully understanding the immense popularity he enjoyed as a media celebrity (personality) and not understanding other areas including international and economic policy.
Why did he do this? This language was not presidential. To most of the world, he was acting like a buffoon, a stupid or foolish person who tries to be funny, but to his target audience, the voters in America, he was echoing their pent-up outrage at the way their “American dream” was slipping away from them into the hands of the powerful rich. He was using the angry language of the increasing numbers of losers in America—vitriol. Trump was their surrogate, one that serves as a substitute, and he was very good at it, at being a buffoon. It takes one to know one, I guess.
He needed to do one more thing, however: attack the character of Clinton by relentlessly calling her crooked, corrupt and dishonest, because of the email server issue. She couldn`t avoid the perception of being characterized as a glad-handing politician reciprocating the influence of the powerful rich.
By using this vitriol, he successfully distracted her enough that she missed discussing the essential issue that would have brought him down—how her economic plan could benefit the many losers. Instead, she got caught up in the vitriolic language and was dragged down to his level of gutter politics, using scandal and lies against political opponents.
In negotiation, if you negate the other`s positive (Clinton's character), the deciding issue rests with your positive (Trump's celebrity personality). This subtle shift from character to personality, from truth to perception, without the necessary push back by Clinton to the critical issue, was an important factor in her loss and his victory, resulting from the use of negative language as strategy.
------------------------------------------------------------------

次回は12月上旬に更新予定です。

※John先生が開発したグローバルリーダー向け英語プログラムは、様々なビジネスシチュエーションに特化した英語スキルに焦点をあて、論理性と説得力のある英語力を養成します。
詳細はこちらからお問い合わせください。

bana_gllt2

担当教師

sennsei

John Mukts (ILC企業研修主任)

日本での英語教授歴20年以上、数々の企業にてビジネスパーソンやグローバルリーダー向け英語研修を担当。ILCの主任教師としてプレゼンテーション・ミーティングなどのビジネスに焦点をおいたGLLT(Global Leadership Language Training)コース開発やオリジナルテキスト開発に従事。

Copyright © ILC国際語学センター 東京校 All Rights Reserved.